名刺にまつわる失敗談

私が社会人になった実感を得たのは

■女性歳 35

私が社会人になった実感を得たのは、当時勤めていた会社から私の名前入りの名刺を配布されたときだった。
と言っても、私は事務職での採用だったため、名刺を使う機会など殆どなかった。それでも採用された当初は関係各所に挨拶回りをさせられ、その時に随分名刺を配った記憶がある。ただ、それが終わると名刺を使う機会はめっきり減り、自分の名刺の在庫を確認することすら忘れる程、名刺を使う機会は巡ってこなかった。ある日の夕方、仕事を終えて帰り道を急いでいると、見かけたことのある人物がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。確かあれは関連企業の営業担当で、うちの営業と随分仲良くしていたなどと思いながら歩いていると、その人物が突然話しかけて来たのだ。人の良さそうなその人物は、自分の名刺を差し出しながら、「○○部署にいる人でしょ?私、□□という者です。
」と自己紹介をして来た。私も慌てて自分の名刺を差し出そうとしたのだが、あいにく在庫が切れていてさっき発注の手配をしたばかりだったことを思い出した。
仕方がないので、私は真面目な顔をしながら、「今名刺を切らしていまして。じゃあ、これで△△です。
」と言いながら、今先方から頂いたばかりの名刺を差し出した。
いわゆる大阪のノリで言うところの「ボケ」をかましたのだが、普段そういうことをしなさそうな雰囲気の私が、真面目な顔をしながらボケたので、その営業はとっさに「おっ、お前、ただ者ではないな!?」と、ある意味大物扱いをされてしまった。それ以来、その営業担当の人には何かと目をかけてもらったが、あの時のやりとりは大阪だからこそ成り立つものだったのだろうと思う。ただ、本来は名刺の発注を忘れてしまうことは余り褒められたものではないので、これはある意味私の失敗談の一つに挙げられるのである。

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